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2005年03月09日

まっくすは〜と♪(5)

「「ビリキュア・マーブルスクリュー!」」
「うぎゃぁぁぁ」

 TS9でも人通りがほとんど無いブロックで、今日もビリキュアが活躍をしていた。今も事件をひとつ解決し、保安部へと引き継いだところであった。

「緒耶美ちゃんのオーラ能力もだいぶ上がって来たにゃあ」
「がお、そうですか? 自分ではあまりわからないんですけど……」
「マーブルスクリューの威力が上がっているのにゃ。って事はボクも緒耶美ちゃんもパワーアップしていると言うことなのにゃ」
「う〜ん、そう言われているとそうかもしれませんけれど……ご主人様が仰るのなら間違いないですね♪」

 ビリキュア装備を解かずに今日の活躍の反省をする二人。風邪時とは違い、確実に必殺技のマーブルスクリューを決めている。やはりオーラ能力というのは使う本人の体調がしっかりと反映するものなのであろう。今日の体調における技の威力に対しては、自信満々のかわねこであった。

「ふん、まだまだだな」「だね」

 そんな自信をあざ笑うかのように、新たな声が響き渡る。保安部員は既に引き上げているので、このブロックにはかわねこと緒耶美の二人しかいないはずだった。だが、確かに二人の声がしたのである。それも声の様子ではかわねこ達と同じ位の年頃の少女らしい。

「がおっ!?」
「誰にゃ?」

 無礼な物言いに、驚く緒耶美と半ば怒り気味に誰何するかわねこ。だが、その返事は予想もしなかった形で返ってきたのだった。緒耶美の方が先に反応し、かわねこに飛びかかるような形で、それを回避したのだ。

「ご主人様、危ない!」
「にゃにゃっ!?」

 つい今まで二人が経っていた場所に力の圧力がほとばしる。オーラを武器とする二人には、それが何であるかはすぐに理解できた。それはビリキュアの必殺技と全く同じ物だったのである。

「がお……マーブルスクリューと同じ……」
「くっ……不意打ちなんて卑怯にゃ! 名を名乗るにゃ!」

 誰なのかはわからないが、いきなり攻撃をしてくるとはいい度胸だとばかりに、かわねこが叫ぶ。その攻撃があまつさえ自分達の必殺技と同じということは、確実に自分達ビリキュアに向けてのメッセージなのだろう。

 だが、不意打ちしてきた二人は、かわねこの言葉が聞こえていないのか、二人でささやきあっていた。

(ホワイト、ちょっとこれ強すぎるんじゃない?)
(ああ。全力出してやったら無茶だぞ、このコス)
(増幅切る?)
(ああ、素でやるか。その分全力で行かなきゃならんけどな……)

 返答がないので、苛立ってもう一度叫ぶ かわねこ。襲撃された上に無視されるのはちょっとばかりひどいだろう。

「誰だって聞いているのにゃ!」
「がおっ! 聞いているんです!」

 かわねこに加わって、緒耶美も襲撃者二人に半ば怒鳴りつける様に問いかける。その勢いに今さらながら気がついたのか、襲撃者達はかわねこ達の方へ向き直って、ポーズを取って名乗りを上げ始めた。

「セキュア・ブラック」
「セキュア・ホワイト」
「「ふたりはビリキュア」」
「オーラの力を持て余し未熟者よ」
「とっととおうちに帰りなさいっ!」

 登場の名乗りを決め、びしっとかわねこと緒耶美を指さす二人組の少女。その衣装はかわねこ達と全く同じ。ショートヘアな少女のセキュアブラックとロングヘアな少女のセキュアホワイトであった。

「ビリキュアが!?」
「どういう事にゃ?」
「あなた達、一体誰なんです」
「どうせ偽者にゃ。フェイクが本物に敵うわけないのにゃ」

 一応のお約束として、ビリキュア装備を付けている人物は、素顔の判別が付かないという効果があった。かわねこと緒耶美達の正体が知られているというのは、報道陣の前で変身している事もあり、TS9全体の周知の事実になっているというだけなのだ。

 ちなみに、その偽者呼ばわりされた少女達の方は、またもや かわねこ達の追求を脇に除け、こんな事をささやき合っていた。

(ううっ。予想してたけど、やっぱ恥ずかしいぞ……)
(うん。5年生にもなってやる事じゃないよね)
(約束だしなぁ……)
(でも、なんかセリフが決まるとちょっと気持ちいいと思わない?)
(そうかぁ? 俺は恥ずいだけだぞ)

 ビリキュア装備の効果の一つとして、決めセリフを言わされる、というものがある。何度も変身しているかわねこと緒耶美は既に自分からセリフを言っているのだが、変身初心者の偽ビリキュアの二人にとっては赤面物のようだった。だが、偽ブラックの方はほんのちょっと気に入った様でもある。

「偽者が私達に何の用なんです!」
「あれ? 私達だって本物だよ」
「なんだってにゃっ!? 本物はボク達にゃ!」
「とはいえ、その程度の力で本物って言われてもな」
「その程度ですって!? 私達はビリキュアなんです!」
「自信だけは一人前だな。なら、勝った方が本物、って事でどうだ?」

 挑発するような口調の偽ブラックと偽ホワイト。自分達が優位であるような、かわねこ達を見下しているような口調。恥ずかしさを優越感でカバーしようなどとは思っていないのだが、無意識のうちにそんな口調になっているようである。

「その勝負、受けて立ちます」
「お、緒耶美ちゃん?」
「未熟者なんて言わせておいて黙ってられません。それに私達のオーラ力も上がってるって言ったじゃないですか」
「そうだったにゃ。ボク達がニセ者に負けるわけがないのにゃ」

 キッパリと決断する緒耶美に一瞬戸惑う かわねこだったが、緒耶美の気持ちはすぐに理解した。なにせ自分も同じように思っているのだから間違いない。どちらが先に言い出すかだけなのだ。二人はうなずき合い、偽ビリキュアの方をきっと睨み付け、びしっと指し示す。

「覚悟するにゃ!」
「がおっ! ご主人様のニセ者なんて許せません!」

 それを受けて、いつでも来いとばかりに偽ビリキュアの二人も構えを取る。表情を引き締め、静かにオーラを蓄積していく。

「よし、俺達も行くぞ、ブラック」
「うん、ホワイト」

 十分にオーラが蓄積されたのがお互いわかるのか、こちらもうなずき合う二人。軽く息を吐いて、呼吸を整える。素で行けばオーラ能力が格段に下の相手だが、ビリキュア装備の増幅機能をフルに使っているので、現状では互角ぐらいであろう。それ故に、気を抜くことは許されない。


 そして、二組のビリキュアが互いにぶつかり合うのだった。

投稿者 かわねぎ : 2005年03月09日 23:28

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