« 2004年12月 | メイン | 2005年03月 »

2005年02月27日

まっくすは〜と♪(3)

 TS9のラウンジでかわねこの姿を探す果穂。Aシフトが終わったのであろう、かわねこと緒耶美がテーブルを挟んで向かい合っているのを見つけたので、早速声をかける。

「かわねこさん、緒耶美さん」
「あ、果穂さん」
「果穂ちゃんも仕事終わりかにゃ。立ってないで座るといいにゃ」
「はい。では、ご一緒させてもらいますね」

 かわねこの誘いに、もう一つ椅子を持って来て座る果穂。二人用のテーブルなのだが、飲み物だけを広げるのには十分な広さである。ただ、果穂がこれから広げる物を載せると狭く感じるかもしれない。

「ビリキュアの変身アイテムの改良版が出来ました」
「もう出来たのかにゃ。さすが果穂ちゃんだにゃ」
「すごいですね。がお? 形が変わっているようですけど」

 果穂がテーブルの上に並べた改良版アイテムを手に取った緒耶美の第一声がそれ。今までのアイテムは折りたたみタイプだったのだが、改良版はターンタイプになっている。形が変わった事と、先日果穂がソ○エリの携帯電話を入手した事はおそらく関係ないのだろう。改良版というより全く新しいアイテム。かわねこも手に取ってしげしげと眺める。

「ふみゅ、機種変更かにゃ」
「ビリキュアのデビューから10ヶ月以上経ってますから、ちょうどいいと思いまして」
「もうそれ位経つかにゃ。新規即解だとマークされるからにゃあ」
「がお? ご主人様、何の話ですか?」
「パワーアップもしているんです。そしてこちらが新たに……」

 さらに果穂がアイテムをテーブルに出そうとすると、かわねこがそれを遮った。

「あ、果穂ちゃん、待って欲しいのにゃ」
「え?」
「実は、パワーアップについてなんだけどにゃあ」
「しばらく今のままで行きたいと思うんです」

 かわねこと緒耶美の言葉に驚いたのか、二人の表情を伺う果穂。試してもらってもいないのに拒否されたとあっては、技術者としてのプライドが許さない。事情があるにしても、納得のいく説明が欲しいところだ。そんな果穂の気持ちが伝わったのか、それとも単純に申し訳ないと思ったのか、その訳を話し始める緒耶美と かわねこ。

「実は頼香さんと来栖さんに相談したんです」
「ボク達のオーラ能力はまだまだ伸びる余地があるって事らしいのにゃ」
「果穂さんのアイテムに頼りっぱなしと言うのも良くないと思うんです」
「幸い風邪も治ったし、本当に強くなるまでは頑張ってみようかと思ってるのにゃ」

 緒耶美とかわねこの話を聞いているうちに、段々と納得した表情になってきた果穂。頼香や来栖に言われた事ももっともである。そもそもビリキュアのアイテムはオーラ能力を増幅する物。使用者本来のオーラ能力が伸びれば抜群の効果が現れるが、そうでない場合、いくら増幅しても限度という物があるのだ。

「なるほど、そうでしたか。頼香さんと果穂さんが……」
「自分に納得がいったら、使わせてもらうにゃ」
「せっかく用意していただいたのに、本当にごめんなさい」
「いいんですよ。本当に必要なときに使ってもらう方が、私としても嬉しいですから」

 そう言いながら、テーブルの上のアイテムをカバンにしまう果穂。カバンのジッパーを閉めると、かわねこへと渡す。

「一応、今のうちに一式渡しておきますので、必要なときの為に持っていてくださいね」
「はい」
「わかったにゃ」

 そうして果穂は立ち上がり、ラウンジを後にしたのであった。

投稿者 かわねぎ 09:50 | 固定リンク | トラックバック (0)

2005年02月20日

まっくすは〜と♪(2)

「お待ちしていました。はい、パワーアップアイテムです♪」

 三人が技術部を訪ねると、開口一番、果穂がテーブルの上に二人分のアイテムを広げだした。かわねこに腕を出してもらい、実際に装着しながら説明を始める。

「左腕に付けて、外部からのオーラ補充に対応できます」
「へくしっ……これでキングフォームになれるのかにゃ?」
「ご主人様、それ違うと思うんですけど……」

 ポーチからカードを二枚取り出すかわねこと、それにツッコミを入れる緒耶美。そんな二人に果穂は会心の出来のアイテムの説明を自慢げに始めようとする。だが、長口上になりそうなところを頼香が遮る。

「おいおい、それじゃないだろ。今回はパワーアップをしにきた訳じゃない」
「でも、マーブルスクリューが破られたんですよね」
「ああ。原因はかわねこのオーラ力の低下だな」
「だったらますますアイテムの必要性が……」
「低下の原因は風邪だ」

 頼香は片手で新アイテムを弄びつつ、果穂に詰め寄る。頼香が見たところ、かわねこと緒耶美の本来のオーラ能力が不足しているとは思えなかった。オーラ能力は気力によって左右するため、風邪気味による一時的な物なのだろう。

「ヘソ出しのコスチュームが問題なんだよ」
「何が問題なんですか。これこそ萌えじゃないですか」
「風邪ひいてるのに、寒そうな恰好させるな! そのせいでかわねこの風邪が悪化したらどうする」
「防寒性能は問題ないはずです!」

 頼香の指摘に猛然と反論する果穂。セキュアブラックのヘソ出しコスチュームは果穂としては譲れないところだ。オーラ増幅衣の効力はデザインに左右される物ではないとは言え、重要な要素である事は間違いない。いや、デザインが最も重要なである。

「ぶえっくぅしぃっ」

 果穂がさらに反論を畳み掛けようとしたところで、かわねこが大きなくしゃみを一つ。頼香と果穂と緒耶美の視線がかわねこに集まる。当然議論も止まるわけで、シーンとなった空気に気まずそうになってしまう かわねこ。

「ごめんにゃ。キャロラット人のボクは寒さに人一倍弱いからにゃあ……」
「そうでしたか……」

 果穂がかわねこの顔をじっと見つめる。風邪で寝込んでいるかわねこの看病というのも乙なものだが、友人を苦しませるのは果穂にとっても本意ではない。それならそれ相応のデザインに変更すればいいだけの事だ。

「わかりました。改良してみます」
「すまないにゃあ。せっかくパワーアップアイテムも準備してもらったのににゃあ」
「構いませんよ。いつか使う機会もあるでしょう。それにかわねこさんに辛い思いはさせたくないですから」

 すまなそうにする かわねこに、果穂は優しく応える。

「辛い思いなら、かわにだちゃんの店でスンドゥプチゲを食べるときに何度も……」
「読みが違う、読みが ( ゚Д゚)つ)д`)▽」
「ご主人様をいじめないでください! ○( ゚Д゚)つ)Д゚)」
「本気でうりうりするんじゃない!」
「加減はしてますぅ……」

 少女達のじゃれ合いが始まっている脇で、その様子を微笑みながら眺めている果穂。そ表情の裏で、せっかく作ったパワーアップアイテムが転んでしまったのでいくらで起きようか、と考えている事は、その場の誰も知らない事であった。

投稿者 かわねぎ 09:17 | 固定リンク | トラックバック (0)

2005年02月13日

まっくすは〜と♪(1)

「へくしっ……それじゃ行くにゃ。ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」

 二人の少女が手を繋ぎ合い、空いた片手を高々と上げてそう叫ぶ。お互いのオーラを増幅し合い、極限まで高めているのであった。

「ビリキュアの美しき魂が」
「へくしっ……邪悪な心を打ち砕くにゃ」
「「ビリキュア・マーブルスクリュー!」」

 増幅した二人のオーラを直接ぶつけるマーブルスクリュー。だが、その輝きはいつもと違って若干少ないものであった。

「ふん、噂に聞いてた程じゃないな、嬢ちゃん達!」

 必殺技に追いつめられたかに見えた悪人が、気合い一発、マーブルスクリューを受け止める。押されつつも気合いを振り絞って、何とかオーラの奔流を脇に弾き飛ばして受け流す。

「「ああっ!?」」

 ビリキュアのマーブルスクリューは、二人のオーラ力を上回っていれば、打ち破ることも可能である。だが、理窟ではそうであっても、実際に目の前でやられるとまた話は別だ。オーラを増幅しているとはいえ、通常のテラン人ぐらいでは太刀打ちできないはずであった。

「お前ら、何やってる!」

 必殺技を打ち破られて呆然としている二人の前にへ飛び込んできたのは、ビリキュアの二人も知っている、ポニーテールの少女。手にしたオーラブレードを一閃し、悪人の足を止める。

「頼香ちゃん!」
「かわねこ、緒耶美ちゃん、今のうちだ」
「はいっ」

 そう言いながらさらに寸刻入れずにもう一振り。この時点で相手のオーラ防御力をかなり削いでいた。ビリキュアの二人も彼女の言葉にはっと我に返り、もう一度手を握り、お互いのオーラを通い合わせる。

「「ビリキュア・マーブルスクリュー!」」
「ぎゃぁぁぁぁ!」

 頼香の助けがあったものの、今度こそ悪人を倒すことが出来たのであった。ビリキュアの活躍がまた一つ、明日の9すぽに載る事だろう。

「それにしても、マーブルスクリューが破られるなんて……」
「ボク達のオーラを上回っているのにゃ。へくしっ……パワーアップが必要な時期なのかにゃあ」
「いや、そうでもなさそうだな」
「「え?」」
「今の見てたけどさ。かわねこ、お前だよ。マーブルスクリューが破られた原因は」
「がおっ? ご主人様が?」

 頼香がオーラスティックを納めながら、かわねこと緒耶美に説明を始めようとする。かわねこのオーラについて指摘しようとした時に、丁度 かわねこが大きなくしゃみを一つ。遠慮のないくしゃみに、頼香は思わず飛び退いてしまった。

「……ぶぇっくしっ!」
「がお!? ご主人様、風邪ですか?」
「寒さには弱いのにゃあ」

 やれやれと思いつつ、頼香はかわねこへの指摘を止めて、風邪の心配をする。頼香にとっても かわねこは大切な友人である。なにせ同年代の軍属だ。TS9の同僚という以上に親しみを持っている。

「お前なぁ、風邪ひいてるならヘソ出しやめろって」
「ううっ、こういうコスチュームだからにゃあ」
「果穂に言って作り直してもらえよ」
「そうするかにゃあ。緒耶美ちゃん、これから果穂ちゃんの所に行くかにゃ」
「はい、ご主人様と一緒なら、どこへでも♪」
「じゃぁ、俺も一緒に」

 こうしてかわねこと緒耶美、頼香の三人は、仲良く技術部のオフィスへと向かったのであった。

投稿者 かわねぎ 22:12 | 固定リンク | トラックバック (0)